綾野剛 主演映画『日本で一番悪い奴ら』感想・見どころや無料で動画を観る方法をご紹介します。
同監督 白石和彌さんによる『凶悪』(2013年 山田孝之さん主演)についてもご紹介。
映画『日本で一番悪い奴ら』(R15 2016年)
綾野剛さん演じる諸星は、柔道の腕を買われて警察に入ります。素直な青年であった諸星は、あるきっかけからエス(スパイ)を作り、銃の検挙率を上げ”ポイントのために”動くようになって行きます。
原作『恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白』
稲葉圭昭による『恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白』(講談社文庫)が原作です。
この作者が起こした”稲葉事件”をモチーフに、警察官による覚せい剤取引や拳銃売買、組織的な汚職、その中で没落していく刑事を映画化したのが『日本で一番悪い奴ら』です。
Wikiを見た限り、かなり事件に忠実な内容で映画が制作されていることがわかります。
Wikipedia 稲葉事件
映画の中では、『領収書』の作成について言及されている部分もあり、こちらの裏金事件を指してのことでしょうね。
Wikipedia 北海道警裏金事件
あらすじ
諸星要一(綾野剛)は、大学時代に鍛えた柔道の腕前を買われて北海道警の刑事となった。諸星は強い正義感を持ち合わせているが、なかなかうだつが上がらない。そんな中、先輩刑事の村井(ピエール瀧)から、「刑事は点数、点数稼ぐには裏社会に飛び込み『S』(スパイ)を作れ」と教えられ、暴力団と密接な関係を持ちながら、上司からの難題を次々と解決していく。やがて、裏社会のスパイとともに悪事に手を染めていく。
Wikipedia 日本で一番悪い奴ら
キャスト
『日本で一番悪い奴ら』の主要キャストは以下の方々。
諸星要一:綾野剛
山辺太郎:YOUNG DAIS
アクラム・ラシード:植野行雄(デニス)
黒岩勝典:中村獅童
村井定夫:ピエール瀧
『日本で一番悪い奴ら』感想・見どころ 若干ネタバレあり
『日本で一番悪い奴ら』の見どころはなんと言っても、汚職に手を染め、堕ちていく綾野剛さんの役どころです。
中村獅童さん、ピエール瀧さんの演技は言わずもがなですが、YOUNG DAISさんの弟分、デニス 植松さんの”胡散臭い外国人”も安心して観ることができましたよ!素晴らしかったです!
”市民を守る”立場である警察官の口からポンポンと耳を疑うような発言が出てくる空恐ろしさ。正義感とは。倫理観とは。価値観に影響を与えてくれる映画だと思います。
青年期 希望に満ち溢れた男
柔道だけが取り柄だった素直な若者 諸星。
夜の店で奔放に振舞う先輩警察官 村井(ピエール瀧)への憧れ。アドバイスを受け諸星(綾野剛)は裏社会とのパイプを持ち、自らもまたその影響を受けていきます。
ホステスさん(矢吹春奈)を紹介され、”日本で一番の刑事になるんで!”と言いながらの若さと熱意溢れる濡れ場はよかったですよ。
裏社会に染まり、力に溺れる男
裏社会に飛び込んでできたつながりが
元・反社会勢力の黒岩(中村獅童)
弟分の山辺太郎(YOUNG DAIS)
ラシード(デニス 植野)
でした。特に太郎は自分を”オヤジ”と呼び、黒岩(中村獅童)とは兄弟分のような関係になっていきます。
この頃の諸星は”イケイケ”で、エースとして警察内での評価は高まり、若い婦警さんから誘惑されて付き合ったりもします。(濡れ場あり)
銃の検挙率を上げるために”銃を買う”さらに銃を買う資金源にするために”薬物の横流しをする”という本末転倒な方法を取っていきます。
全てを失った憐れな男
恋人が薬物に溺れる。(”なんでやったんだ”と恋人を叱責しながらの濡れ場もまた印象的でした。)
仲間の裏切りから全てを失う。
自らも薬物に溺れる。
左遷される。
精気に満ち溢れていた稲葉(綾野剛)の姿はもうなく、薬物に体を冒されボロボロになった”憐れな男”の姿がありました。
不良少年に柔道技で投げられたりしますからね・・・
倫理。正義。捉え方が変わるほどの衝撃
警察官のイメージといえば、やはり”正義”ですよね。
しかしそれは”理想”であって、あくまで”仕事”である。単なる”立場”に過ぎない・・・という表現・描写が多く見られました。
- 諸星が警察に入るよう勧められたのは”柔道”でよい成績を残すため。
- 検挙率やその検挙内容が”ポイント”や”ノルマ”として描かれている点。
- エスの利用や、違法捜査が上司からの指示(明確ではないが)で行われている点。
通常の企業なら、他の支店と営業成績を競うのは当然といえば当然なのですが、それが”警察”に置き換わると、競う内容は検挙率になってしまうわけですよね。
もちろん全ての警察がそうだとは言えないでしょう。後に出てくる若い警察官が”市民の平和を守るために警察官になった”と口にしたときの諸星の表情がなんとも言えませんでした。
映画『凶悪』(R15 2013年)
死刑囚・須藤(ピエール瀧)届いた手紙によって、記者の藤井(山田孝之)は事件の真相を調査し始めます。
警察も知らない須藤の余罪とその首謀者である「先生」と呼ばれる男・木村(リリー・フランキー)の存在が次第に明るみになり、その恐ろしい事件の全貌が明らかになっていく・・・
『日本で一番悪い奴ら』で悪徳警官を演じたピエール瀧さんが、元極道役を演じます。これももちろん怖いのですが、リリー・フランキーさんのサイコパスっぷりが本当に怖い。
嬉々として、おもちゃで遊ぶ子供のように、命を弄ぶ木村(リリー・フランキー)。こちらも既存の道徳観がぐらっとくる衝撃作品です。
原作『凶悪 -ある死刑囚の告発-』
ノンフィクション小説『凶悪 -ある死刑囚の告発-』(新潮45編集部編、新潮文庫刊、ISBN 4101239185)が原作です。
元となった事件「上申書殺人事件(上申書事件 茨城上申書殺人事件など)」はこちら。
Wikipedia 上申書殺人事件
どちらの作品もそうですが、”やっぱり悪い事はできないな”なんて教訓めいた感情ではなく、正義や倫理の在り方はこうも簡単に崩れてしまうのかという、薄氷の上に立っているような・・・自分の足元が無くなるような・・・そんな恐ろしさを感じる作品でした。

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